旅行人ノート
チベット[第4版]
旅行人編集部編
本体1900円+税(税込価格2052円)
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カム東部●ラルン・ガル・ゴンパ

カムの地図
(1333X1108pix)

ラルン・ガル・ゴンパ

 幹線道路沿いに立つチョルテンを目印に谷を上って行くと、やがて広大な丘の斜面を埋めつくす僧坊群にあっけにとられるだろう。

 ラルン・ガル・ゴンパは1980年代に開かれたばかりだが、2001年には僧・尼僧8,000人が暮らしていたとされる。漢族の信者も1,000人ほどいて、専用の学堂や寮が建てられている。

  この谷間に修行の地を開いたケンポ・ジグメ・プンツォク師は文革を生き抜いた数少ない高僧の一人として、東チベット全域で絶大な人気を誇るカリスマ・ラ マ。ダライ・ラマ14世の写真がおおっぴらに飾れなくなった今、東チベットのバスやトラックのフロントガラスに貼られているブロマイドはかなりの確率で、 このケンポ・ジグメ・プンツォク師のものだ。師の説法は美しく、それにメロディをつけた歌がヒットしている。ケンポが現れたおかげで、荒くれ者で知られる ゴロクとカムの男たちが悪さをはたらかなくなったとまで言われている。

 ただ、ゴンパがあまりに巨大化しすぎたせいか、当局から縮小命令が出てしまった。2001年、地元出身者以外は強制的に追い出され、僧坊が取り壊された。リストラ後は千数百人規模に落ち着いているようだ。

 2004年1月7日、ケンポは成都で逝去。転生者はまだ見つかっていない。

  宗教的なコミュニティーのもつパワーを案じているのだろうか、当局は相変わらずラルン・ガルの動きには目を光らせている。入口で身分証チェックがあり、外 国人は立入禁止。中国人は身分証を預けて入山する。もちろん、まわりは草原なので脇から入れてしまうかもしれないが、境内にも当局関係者はいる。必ずどこ かで見られていると思って行動したほうがいい。ラルン・ガルがいつまでも修行の地として元気であり続けるために――。

写真◆長岡洋幸