ある夜、ピラミッドで

¥1,836 (税込) 本体価格:¥1,700

とめどなくタフ、果てしなく不条理、そのすべてを呑み込んだワンダーランド・エジプト。1990年の春から1997年の末まで、著者はエジプトのカイロに暮らした。この本は、その滞在のときのことを中心に、エジプトで見聞きしたことを書いたものである。
滞在中に意識や関心に引っかかってきた事柄を、日常茶飯のできごとから観光、古代、宗教といったことまでジャンルに関わらず集め、エジプトの持つ多様な顔を表現するエッセイ。『旅行人』連載。

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説明

田中真知 著

2000年7月10日発行

【目次から】

ラマダン・ナイト
タクシードライバーたち
門番のバクリー
カイロで学ぶフランス語
悪霊祓い
テロリスト参上!
特効薬
ある夜、大ピラミッドで
シーワ・オアシスへ
「黄金」という名の村
ある朝、シナイ山で
大観光
古美術品密売の話
エジプシャン・ドリーム
アメリカの夢
ネフェルタリの墓
古代の旅の物語
三千年の愛の物語
ウイダード
ムハンマド
スレイマン
マダム・ルッシー
サーミア
引っ越し
窓からカイロが見える
夏の夜の悪夢
サウジが街にやってくる
カイロ大地震
床屋について
エレベーターの猫/信じられない泥棒
外出恐怖症
ゴミと豚と神と
エジプトのサイババ
あるオランダ人スーフィー
エジプトのハレ・クリシュナ
アンパン男爵の夢
隠者たちの沙漠で
聖マカリウス修道院のオリーブ
偏愛するエジプト本

 この本は、カイロに足かけ8年暮らした田中真知さんのカイロ生活記です。
といっても、カイロは素晴らしかった、エジプト人はよい人々であったというような凡庸な生活記ではありません。カイロの生活がいかに困難であるか、エジプ トの人々や生活がいかに不条理であり、かつ奥深いものであるかを、身を持って体験した本音のエジプト生活記です。

 真知さんに、エジプトの本を書いて下さいとお願いしたとき、真知さんは「うーん」とうなって、なかなか承諾してくれませんでした。それは、安易に描くことができないエジプトへの想いが、身体の底に重くのしかかっていたからだと、この本のゲラを読んで納得したものでした。

  かといって、重苦しい本というのではありません。思わず笑いを誘われる体験もたくさん語られているのですが、しかし、これがエジプトの奥にある世界なのだ ということがうかがえることでしょう。カイロから出る膨大なゴミに囲まれて暮らすコプト教徒たちのすさまじい生活や、アパートの周囲で生活する住民たちの たくましく、理解不能な騒々しさ。あるいはイスラム教の国と思われながら、人々の間で息づいているアニミズムの世界などなど、エジプト人のあからさまな生 き方が、旅行者でもなく、住民でもない、「生活者」として視点から描かれています。エジプトの生活に興味のある方は是非ご覧下さい。 

編集担当:蔵前仁一

追加情報

大きさ 364 mm

立ち読み

はじめに

1990年の春から97年の末まで、ぼくはエジプトのカイロに暮らした。この本は、その滞在のときのことを中心に、エジプトで見聞きしたことを書いたものである。
カイロに住むようになったのは、偶然のなりゆきだった。90年の初め、ぼくはアフリカを旅するために妻をともなって日本を飛び立った。予定としては、エ ジプトの南にあるスーダンという国をしばらく旅行してからケニアにぬけ、半年くらいで日本に帰るつもりだった。ところが、スーダンでは政情不安のため思う ような旅ができず、ぼくたちは疲れはてて、いったん計画を見なおすためにエジプトに向かった。当時カイロには友人の日本人夫婦が住んでいて、ぼくたちはそ こに居候させてもらったのである。
ところが、ちょうどその頃、友人夫婦は三年のエジプト滞在に終止符を打って、帰国の準備をすすめているところだった。いろいろ話し合った末、結局、ぼく たちは友人夫婦の帰国と同時に、ナイル川西岸のモハンディシーンという地区にあった彼らのフラットを引き継ぐことにした。旅行者ではなく滞在者として、し ばらく異国に住んでみるのも面白そうだったし、カイロをベースにすれば、アフリカをじっくり時間をかけて歩きまわれるのではないかと考えたのである。こう して思いもよらなかったカイロでの暮らしが始まった。
エジプトに暮らすというのは、ある意味で、サーカスのお祭り騒ぎのなかで生活するようなところがある。日常が、予想のつかないスリルや、どんでん返しに 満ちているのだ。短期の旅行者にしてみれば、こんなに面白い国はなかなかないと思うが、そこで長く暮らす身となると、そうとばかりもいっていられない。 サーカスの観客どころか、気がつくと自分がサーカスの輪のなかに入っている。傍観者でいることが許されないのである。それはそれで、こちらが充実してエネ ルギーに満ちているときなら楽しいこともあるのだけれど、そうでないときにはひどく疲れてしまうのだ。
それでも、なにかと文句をいいながらも結果的に足かけ8年もエジプトに暮らしたのは、この土地や人びとのもつ、ある種とらえがたい懐の深さに支えられて いたのだと思う。エジプトには、あらゆる解釈や意味づけを笑い飛ばすような、とめどなくタフで、無責任な生命の爆発がある。理不尽なこと、ばかげたこと、 不条理なことだらけなのだけれど、エジプトはそういうものをすべて呑み込んで、なおもそこに在る。その驚異的な寛容さこそ、良くも悪くもエジプトならでは の魅力なのだと思う。
それでは、ワンダーランド・エジプトへようこそ。

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