説明
A5判296ページ(カラー80ページ)
ISBN978-4-947702-72-2 C0026
2014年5月20日発売
本書で旅する国々
バルカンとコーカサスへ 蔵前仁一
この本は、僕が旅をしたバルカン諸国と南コーカサスの旅行記である。
バルカン諸国は東ローマ帝国とオスマン帝国の支配下にあった歴史があり、南コーカサスの国々もまた同じようにセルジュク朝やオスマン帝国、あるいは東ローマ帝国の支配下に入った歴史を持つ。だから、これらの地域のほとんどはイスラームと東方正教の世界だ。
そして、ギリシャを除いて冷戦時に社会主義国でもあった。冷戦構造が終結してから20年以上たつが、これらの地域が社会主義から市場経済へと移行すると、コーカサスの国々の中からはロシア離れが進んでヨーロッパに接近しようとする国も現れる。バルカン諸国ではユーゴスラビア紛争を経てEU加盟を果たす国も現れた。
僕はこれまでおもにアジア、中東、アフリカなどを旅してきたが、ずっとこういったところを旅できないでいた。南コーカサスは長らくソ連邦の一員で旅ができなかった。旅ができるようになったのは、ソ連が崩壊した1990年以降である。それからこの地域では紛争が続き、すぐに旅ができるという状況になかった。そして、バルカン諸国ではご存知のようにユーゴスラビア紛争が起きた。
はたして、コーカサスの国々とはいったいどういうところなのか、そしてユーゴ紛争後のバルカン諸国はどうなっているか。本書をお読みいただければと思う。
第1章 バルカンの花
バルカンはどこにある?/ザグレブの退屈/アドリア海沿岸の明るすぎる町/銃弾の跡──ボ スニア・ヘルツェゴビナ/サラエボのイスラーム/サラエボのトンネル/サラエボの花/山を越えてモンテネグロへ/小さな国の産業/絶景かなコトル湾/謎の 国アルバニア/アドベンチャーな山の旅/天国を歩く/コソボ経由ティラナ行き/ヨーロッパの最貧国/千の窓の町/石の町/血讐の掟/マケドニアへ/銅像の 大都会/緊張のセルビア入国/キリムの町/イスラームの町ノビ・パザル/修道院のフレスコ画/大都会ベオグラード/美しいアールヌーヴォー建築/セルビア は「悪者」だったのか/バルカンの旅を終えて
第2章 ルーマニア田舎紀行
──もう一つのバルカン
ヨーロッパ最後の中世へ/ブカレスト/チャウシェスクの遺産「国民の館」/農村博物館の半地下住居/モルドヴァの修道院/ホテルのオーナー兼ドライバーとの話/平均時速三〇キロのスロートレイン/ルーマニアのヒッチハイク/マラムレシュの教会を巡る/バイア・マーレから田舎の村へ/都会の香りクルージュ=ナポカ/ロマの宮殿/セーケイ人の町/お釣りが多い/雨のブラショフ/華麗なるマノレ修道院/ブランクーシの作品群/半地下住居はどこにある?/列車を乗り間違える/革命発祥の街ティミショアラ/ルーマニア旅行の醍醐味
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