説明
旅行人編集室 著
1999年5月22日 発行
シルクロードへの道
1980年代の初め、中国の主要な地域が個人旅行者に開放され、85年頃から中国の西の果てカシュガルまで行けるようになった。まもなく外国人もフンジュラーブ峠を越え、パキスタンを通り、そのままイラン、トルコへと陸路でアジアを横断することが可能になった。
そして今。ソ連時代はバウチャー旅行(P.18参照)のみで、自由に旅行できなかった中央アジアやカフカス(コーカサス)の地域が、ソ連崩壊の結果、1990年代初めから事実上、個人旅行ができるようになってきた。
かつてのシルクロードの東の起点は、中国歴代王朝の首都西安(長安)。ここから本書で紹介する河西回廊、新疆を通り、旧ソ連の中央アジア、カフカスを抜 けトルコに入るルートは、オアシス・ルートと呼ばれる狭義のシルクロードに沿ったルートを指す。ここではこのルートへの日本からのアクセス方法をいくつか紹介しよう。
シルクロードへのアクセス
【中国地域(西安~新疆)】
日本からのアクセスは非常によく、様々なルートが考えられる。まず西安への直行便は新潟、成田、名古屋、関空広島、福岡からがある。ただし運賃はやや高めだ。
北京、上海へは日本の主要空港から毎日便があり、乗り換えて西安へ向かう。料金も西安直行便に比べると安い。それぞれの都市から西安までは列車を使えば 1泊2日。また上海へは大阪と神戸から船があり、北京へは神戸から天津港を経由して行ける。ともに船中で中国ビザが取れる。青島へも下関から船があるが、 この路線は船中で中国ビザを受取れない。
また韓国を経由して中国へ向かう方法もある。この場合、空路で直接ソウルに入るか、下関か博多から船(毎日あり)で釜山に入り、韓国の各港へ国内移動を する。韓国と中国の間は、釜山→煙台(毎土12:00発)、群山→煙台(週1便)、仁川→威海(週3便)、仁川→青島(週2便)、仁川→天津(不定期に週 1便)などがある。なお、日本人は船中で中国ビザを取得できない。
【新疆へ】
新疆だけを中心にまわりたいという人は区都ウルムチをまず目指すことになるが、日本からの直行便はない。北京、上海など中国各地から航空路線があるが、料金は高く、上海~ウルムチが2,940元(約43,000円)。列車は北京と上海からそれぞれ3泊4日かかる。
【中央アジアへ】
空 路
日本の名古屋から5~10月(’99年は6月19日より)の夏期のみ、ウズベキスタン航空の定期チャーター便がある。毎週1便、土曜日発。従来は、乗り 継いで、アルマティかタシケントにアクセスするのが一般的。モスクワ乗り継ぎなら日本から毎日フライトがあるが、モスクワで空港間の移動があり、このため ロシアのトランジットビザが事前に必要。
またウルムチからはロシアや中央アジア、パキスタンへも飛行機が飛んでいるが、ウルムチではカザフスタンのトランジットビザしか取得することができないので、あらかじめ日本か北京で準備しておくこと。
ソウルからもアルマティとタシケントに週1~2便あり、最短所要時間で行くことができる。この他、バンコク、デリー、イスラマバード、カラチ、テヘラン、イスタンブールやヨーロッパ方面からも便がある。
陸路・海路
中国からはウルムチ~アルマティに列車とバス、イーニン~アルマティにバスが運行。カシュガルからトルガルト峠を通り、ビシュケクへもバスがあるが、外 国人が乗車できるかは流動的。ロシア方面からは、日本からウラジオストックに入った後、列車でノヴォシビルスクで乗り継いで、アルマティに行くことができ る。途中のハバロフスク、イルクーツク、ノヴォシビルスクからアルマティかタシケントへも航空路線がある。モスクワからはアルマティ、タシケント行きの列 車が週3~4本運行。その他、イランからトルクメニスタンへ列車やバスを乗り継いで、アゼルバイジャンのバクーから船でカスピ海を渡って行くことも可能 だ。
【カフカス(コーカサス)諸国へ】
空 路
日本からの直行便はなく、モスクワかイスタンブールで乗り換える。その他、中央アジアやパキスタン、イラン、ヨーロッパから直行便がある。
陸 路
トルコからはグルジアや、アゼルバイジャンの飛地であるナヒチェヴァンへの国境が開いている。イランからバスを使いアルメニアへ、さらにカスピ海沿岸のバンダレ・アンザーリーから船でバクーに入る。陸路のアスタラ国境は外国人が通れるかは流動的。
WEB 管理 –
【読者はがきによるレビューのため、管理者が投稿しています】
●私は昭和60年にカシュガルに入り、その後旧ソ連領の中央アジアや東ヨーロッパ(バルカン半島)、中東を歩いてきましたが、その間ロンリープラネットを 上回る日本のガイドブックがないのには残念に思っておりました。この本は本当にすばらしい。目からウロコが落ちるとはこのことです。◆Y・N/43歳
WEB 管理 –
【読者はがきによるレビューのため、管理者が投稿しています】
●私、旅行会社に勤務しておりまして、ウズベキスタンに添乗員として行くことになりました。ちょうどこの仕事が入った時にこのガイドブックを発行して下さり、本当に助かりました。◆T・S/35歳